
ダーリング・ハーバー開発プロジェクト
ダーリング・ハーバー・オーソリティー
ダイアナ・タルテイー
概観
ダーリング・ハーバー・プロジェクトはシドニーCBD(中心業務地区)の西側に位置する60ヘクタールの土地と港湾に関するプロジェクトである。
1950年代から1960年代に建設された鉄道による船荷の大規模な積み換え基地が、コンテナ輸送の導入、羊毛製品の輸送方法の変更、シドニーの路面電車システムの段階的廃止などといった技術的な変化により、他の多くのウォーターフロント地域と同様に機能的に老朽化したため、このプロジェクトが発案された。
都市が発展するにつれて、機能的老朽化が進むのは一般的な現象といえる。しかしダーリング・ハーバーの場合は、同時に遊休地が増えていることが致命的な点であった。土地が無用になったといっても、自然の復旧にまかせるにはコストとインフラ規模が大きすぎるために不可能であった。
以上の理由がこの地区の総合的再開発を行う背景である。
シドニー市議会とニュー・サウス・ウェールズ州政府による一連の調査の後、州政府は1983年に、ダーリング・ハーバーにおける機能的老朽化があまりにも進んでいるために、州政府がこの地区に対して目に見える形で具体的な対策を講じなければ、民間企業はこの地区から離れていく旨の勧告を受けた。州政府はこの地域を全体的に一掃して新しいサービスを提供し、独自の開発プロジェクトを具体的に講じる必要があった。
州政府はすでに1億ドルを超える予算をこの地域の娯楽センター、パワーハウス博物館、技術研究所の3大プロジェクトに充てていた。州政府にはまた、市郊外に国際展示場と国際会議場を建設する意向もあった。
1984年5月1日にニュー・サウス・ウェールズ州知事は、ダーリング・ハーバーの総合的再開発を決定したと発表した。これには臨港公園やウォーターフロント・プロムナードとともに、主要な公共施設の建設や民間企業の開発への参入も含まれていた。このプロジェクトは1988年の開国200年祭の目玉として急遽進められることとなった。
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